論語と算盤と私
義理と人情を 秤にかけりゃ 義理が重たい 男の世界
経営って何だっけ。
浅学の身、乏しい経験とはいえ、これでも上場企業、スタートアップ経営者の端くれ。経営を担い、垣間見てきた人間として、これは真摯に向き合うべき禅問答なのだ。
経営者というのはあくまで営業や研究開発、製造、顧客サポートといった各機能の担当者と同じく役割だろう。指揮系統上の秩序は要請されるものの、個々人と結びついたヒエラルキーに関するものではないし、ましてや位階であってはならない。
(この点、創業者は単に経営者である以上に、ある種の呪術的な影響力を持った存在であることに注意されたい。創業者と経営者って必ずしもイコールではないのだよね)
ただその一方で、CEOって仕事の役割、要件というものはあまりにもフワッとしている。CFOは会社の資金調達や市場とのコミュニケーションを担う責任者、CTOは全社の技術的な側面における責任を持つというのは理解できる。けれども言うに事欠いて、”Executive”って何やねん。
組織の最終的な意思決定に対して責任を担う役割と言えばその通りなのだけど、なんだか分かったような分からないような説明だ。「じゃあおめーは何やってたんだよ?」と問われれば、それはそれで色々とやってたんだけどさ。
そもそも一概に経営者と言っても、その時々でやっていることが全く違うし、会社の成長ステージによって求められるスキルセットは大きく異なる。
拙いなりに自分の言葉に落としてみると(当てずっぽうでも言ってみること大事!)、経営というのは「組織が実現したいこと」とそのために必要な「組織の存続」を担保すること、この両輪を上手くバランス取りながら回し続けることだと思う。前者は何をしたくてその組織が存在しているのか、それを「ミッション」と呼んでもいいし、存在理由と呼んでもいいだろう。
ここで言う「経営」というのは、何も株式会社を対象に絞った話ではない。NPOであれ自治体であれ教育機関であれ、複数人が集まる集団、組織であればどこでも役割だ。
真に優れた経営者は業界を問わず、はたまたビジネス、非営利、パブリックセクターといった垣根を越えて、どんな領域でも組織を経営し得るのだと確信している。
ポイントは、その組織が位置する業界や領域、また同じ組織であったとしてもその時々の状況によって、両輪の重みが変わってくることだろう。